成長期の膝の痛み(3)有痛性分裂膝蓋骨について
膝蓋骨の一部が分離したものを分裂膝蓋骨といいます。このうち痛みを訴えるものを有痛性分裂膝蓋骨と呼ばれています。
有痛性分裂膝蓋骨は10~15歳の男子に多い成長期の膝の痛みの一つです。発症は12・3歳ごろが最も多いと言われています。
左右差はあまり無く(利き脚とは無関係)両膝が約1/4に見られます。サッカー・バスケットボール・陸上競技(特に短距離走)・野球・バレーボールが多いとされます。まれに荷重負荷を受けない水泳でも報告があります。
これらの競技の特徴は、疾走・急激なダッシュ・急激な停止など、大腿四頭筋を急激に収縮することです。
大部分の症例では運動時に膝蓋骨(膝の皿)に痛みを訴えます。激しい運動時や運動―ダッシュ・疾走などーごの痛みを膝蓋骨の分裂部に訴えます。
激しい痛みのために運動を中断したり、運動終了後に一時的な跛行(びっこ)を呈します。大部分は翌朝には消失します。再び運動をすると痛みが出るために、スポーツ活動を控えるか、痛みに耐えながら練習を行うことが多いようです。
また、ダッシュなどの運動以外では膝を曲げる動作(特に運動後)や正座に痛みを訴える例が半数を占めます。次いで、階段昇降時・歩行時・寒冷時に痛みを訴える例が多くあります。
診断はレントゲン撮影で行います。レントゲン撮影で膝蓋骨の上外側に分裂像があり、分裂部に一致して痛みがあれば容易に診断できます。放置しても分裂部が骨癒合することもありますが、分裂したまま成人となり無症状になる例も認められます。
しかしながら、有痛性の場合、癒合せず分裂部はむしろ拡大し、痛みも持続・悪化する傾向が強く、成長終了後手術が必要な場合もあります。