成長期の膝の痛み(2)ジャンパー膝について
繰り返しのジャンプ・走る・蹴る動作・山登りをする競技などで起こる膝の痛みの一つです。
15~18歳前後のスポーツ選手で、男女ほぼ同程度に発生します。バレーボール・バスケットボールが断然多く、走り高跳び・走り幅跳び・三段跳び・クロスカントリー・サッカーなどで見られます。
症状としては膝蓋骨(いわゆる膝の皿)の下端に、自発痛・圧痛があります。まれには膝蓋骨上端に圧痛を認めることもあります。膝蓋骨下端に腫れを認め、痛み・腫れは数時間から数日の安静で軽快しますが、再発を繰り返します。
痛みは、運動の初期に見られます。ウォーミングアップ後にやわらぎ、スポーツはできるがスポーツ後にまたでてくることが多い痛みです。さらに重症化するとスポーツ不可能になります。
ジャンパー膝の選手は一般に長身であり、成長期の子供では急激に身長の伸びる子供に多く見られます。オスグッド・シュラッター病の時に述べたように、大腿骨の長軸成長に大腿四頭筋の伸びが追いつかないために相対的に筋肉の緊張が加わり、結果として膝蓋骨の上下端にストレスを集中し症状が出現すると考えられます。
症状による分類
Ⅰ:スポーツ後の膝蓋骨下端または上端の痛み
Ⅱ:スポーツ開始時に痛みがあり、ウォーミングアップで消失し、スポーツ後にまた痛む
Ⅲ:運動負荷で痛みがあり、その後も痛く、スポーツができない
Ⅳ:膝蓋靭帯(膝蓋骨と脛骨結節を結ぶ)の断裂→膝伸展不能になる
症状が慢性化すると、膝の完全伸展が出来なくなり、膝屈筋群(ハムストリング)の拘縮が生じます。また、大腿四頭筋の拘縮(短縮)のために腹ばいにて膝を曲げると踵が臀部につかず、臀部に無理につけようとすると臀部がもち上がる(尻上がり)現象が見られます。
治療・予防
大腿四頭筋とハムストリングのストレッチングと筋力強化が大事です。特に大腿四頭筋のストレッチングにより膝蓋骨から膝蓋靭帯に加わる力が減少し、さらに大腿四頭筋の筋力の増加により、極限まで力を出さずにジャンプできるようにすることが大切であると言えます。軽症の場合は、これだけで治癒してしまいます。ジャンプなども徐々に高さをあげていきましょう。
運動後の10~15分のアイスマッサージを行うことで、局所の炎症所見も軽減され、循環も改善されます。これらのことを行っても症状が改善しない場合は、スポーツを専門とする整形外科医に相談して、一定期間の休養(走る・ジャンプ・蹴るなどをしない)を取りましょう。
それでも痛みが取れない場合、スポーツを諦めるか手術を受けるかという、とても重大な選択を迫られることになります。
痛みは体が出している危険信号!!だと考え、無理しすぎないようにしましょう!!