公益社団法人射水市医師会

捻挫・打撲にはどれくらいの期間の休養が必要ですか?

捻挫・打撲の際、必要な安静・休養期間

受傷の程度・受傷部位により、安静・休養期間は異なります。またスポーツの種類、年齢・性、初回受傷例(新鮮例)か慢性例(陳旧例―受傷後、少なくとも3週間以上経過した)、習慣性(何度も受傷を繰り返してる)かにより、復帰までの手続きは異なります。
また、受傷直後の応急処置の如何によっても、左右されます。
従って、捻挫・打撲後に要する安静・休養期間は、一人一人正しく診断されるべきであり、これだ!という正解はありません。
ここで、捻挫・打撲というものを正しく理解しましょう。

捻挫:ねじって(捻る)くだく(挫)こと

打撲:うって(打つ)たたく(撲)

どちらも本来は、外力の性質を表す言葉で、病名ではありません。
捻挫という外力で生じた外傷を病名で「捻挫」、打撲で生じた外傷を病名で「打撲(傷)」といいます。

捻挫は、関節外傷の一種です。関節に正常の運動範囲を越える外傷が働いた時、関節周囲の靭帯や関節包(関節には必ず袋があり、包の中には関節液―いわゆる水があります)が、引き伸ばされたり切れたりした状態を言います。
打撲は、打撲という外力が働いた結果、皮膚・粘膜の表面および更に深部の組織―皮下脂肪や筋肉などーが圧挫されたことによる損傷を言います。
但し、捻挫打撲のという外力で生じた、脱臼・骨折や内臓損傷は捻挫・打撲とは言いません。

捻挫 このケガは大丈夫?

捻挫の程度は3段階に分類!

捻挫という関節外傷は、医学的には以下の3段階に分けています。
Ⅰ度(軽症):靭帯がわずかに伸ばされた状態で、比較的限られた部位に軽い腫れ・痛みが見られます。
Ⅱ度(中等症):靭帯が部分的に切れた状態。広い範囲で腫れ・強い痛み・皮下出血が見られ、時には関節内に血液が溜まることがあります。関節の不安定性―ぐらつきは無いのが普通です。
Ⅲ度(重症):靭帯が完全に切れた状態。強い腫れ・痛みがあり、特徴的なのは関節不安定性―グラグラと表現―が見られます。

打撲も軽重さまざま

打撲という外力は、皮膚・皮下脂肪・筋膜・筋肉・腱・血管・神経などを損傷して、さまざまな症状の打撲傷を起こします。

肉ばなれ

筋肉を急激に伸展した時に生じる筋損傷が肉ばなれですが、安静や治療は打撲傷や捻挫と同様に考えています。

捻挫・打撲傷への対応

①受傷直後に必ず行うべきこと:R・I・C・E、またはI・C・Eです。
 R:Rest(安静)I:Icing(冷やす)C;Compression(圧迫)E:Elevation(患肢を高く保つ)
②固定・免荷(体重をかけない)・安静の目安
以上述べた打撲・捻挫の考え方を背景に、受傷後の安静について、あえて粗っぽい目安を申し上げれば、
軽症:当初から安静を必要とせず、当初から症状に応じてスポーツ活動が可能な場合があります。
但し、整形外科医の診断・判断が必要!
固定・安静・免加:3~7日
中等症:固定・安静・免加-3週
リハビリテーションー2~3週
重症:しばしば手術が必要になる
手術しない場合―固定・安静・免加期間―6~8週
リハビリテーションー3~6週

障害された部位以外のトレーニングは積極的に行うべし!

①個々の障害に適合したメニューを作る。その際、スポーツ専門の整形外科医に相談したほうがいいと思います。
②心肺機能・筋力等の保持に努める。
③イメージトレーニングを加味する。  などが考えられます。

最後に

①「捻挫・打撲」は日常よく見られる外傷などで、一般に軽視される傾向にありますが、重大な障害を隠し持ってる可能性があるため、“捻挫・打撲=たいしたことない”は禁物です。
②どの程度の外傷かを本人・家族・スポーツ現場だけで判断するのはリスクー慢性化し、スポーツを断念せざるをえないこともあるーを伴う可能性があり、はなはだ危険です。
現場では前に述べたRICEなどの応急処置をし、整形外科医の判断を参考にすべきです。
③この際、求められる課題は、スポーツ現場と整形外科医の考え方の共有化だと思います。
医師はスポーツ現場の考え方を理解できること、現場はスポーツ医の判断を信頼・尊重できることだと考えます。
是非、地域のスポーツ医と接触してください。

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