公益社団法人射水市医師会

成長期における 筋力トレーニング・ウェートトレーニングの是非

成長期の筋力トレーニング(以下筋トレと略す)について

 筋トレは筋出力の向上により運動そのものが力強く行われ、結果的にスポーツ能力も向上すると考えられ、指導者も選手も何の疑問も無く受け入れ、行われているのが現状であります。

 一般的に筋トレの注意点としては、

 ① 許可された範囲で安全に行いましょう。

 ② 痛みや過度の緊張を起こさないようにしましょう。

 ③ 翌日に疲れ・筋緊張・痛みを残さないようにしましょう。

 ④ ストレッチを十分に行い、筋肉・腱の柔軟性を高め障害を防止しましょう。

 ⑤ 最初は小さな負荷から始め、少しずつ負荷を上げていきましょう。

 ⑥ 強化する筋を意識し、その筋の拮抗筋の強化もあわせて行いましょう。

 上記のことが重要であります。

成長期の児童に筋トレをする必要があるのか?

 このことについて論ずる前に、成長期の子供について十分な知識を持つことが最重要であります。子供は心身ともに発育の途上にあり、未成熟な状態であることを指導者は常に忘れてはなりません。同一年齢・同一学年の集団において、成長・発達の個人差が大きく、さらに技術・体力レベルにも個人差が大きいということを念頭に置くべきであります。画一的なトレーニングはスポーツ障害を引き起こす可能性があること、最悪の場合、スポーツから離れ、スポーツそのものを嫌う可能性があることを指導者は銘記すべきと考えます。

 また、間違った筋トレの考え方として「一生懸命やれば必ず報われる」があります。指導者(成人)とは異なり子供の能力は、基本的に成長発達の段階に左右されるものであり、成人では有効なトレーニングのプログラムを用いても子供では同様な効果が得られないと考えるべきであります。

 運動器の中でも神経系の発達は10歳ごろまでにほとんどが完成されますが、筋肉の発達は男性ホルモンと関連するといわれ高校生以後が顕著となります。従って筋トレは高校生以降に行ったほうが効果的と言えます。成長期ではむしろ骨・関節の過負荷につながり、むしろ障害の引き金になります。小学生ではバランス感覚や空中感覚の養成・獲得や投・打・泳・走・蹴などの基本動作の獲得に主眼をおくべきでしょう。

(文責 担当理事)

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